主要な就労ビザ
就労ビザ Work VISA Major3
全29種類の様々なVISA在留資格がありますが(令和5年12月現在)その半数以上が、いわゆる「就労ビザ」と呼ばれるものです。
従事する仕事の内容ごとにビザの種類も細かく分かれています。
日本で働きたい外国人は、そのいずれかのビザを取得するための要件を満たしていなければなりません。
専門職ごとに細かく分類はされていますが、就労ビザのなかで特に多いと思われるのが以下の3つのビザです。
1.技術・人文知識・国際業務ビザの場合
Engineer/Specialist in Humanities/International Services
まず、クリアするべき要件として、日本国内の民間の会社や公的な機関と雇用契約を結ばなければなりません。
雇用契約を結ぶと言っても、どんな仕事でもいいというわけではありません。
仕事の内容には専門性が求められ、仕事の内容と大学または日本の専門学校で専攻した分野が関連していなくてはなりません。
たとえば、理系学部出身者なら、機械系や電機系の技術者など。文系学部出身者なら、営業、経理、広報、通訳、語学教師、デザイナーなどが該当する職種となります。
では、大学または日本の専門学校を卒業していない人は技術・人文知識・国際業務ビザを取れないのかというと、取るためには10年以上の実務経験が必要になります。(通訳、翻訳、語学講師の場合は3年以上の実務経験でよい)
そして、その実務経験をきちんと証明できなくてはなりません。つまり、学歴はとても重要な要素になります。
外国人本人の要件を満たしても、雇用契約を結んだ会社側にも要件があります。
外国人を雇ってきちんと給与を払えるだけの経営の安定性や継続性が問われます。
そして、日本人と同等の水準の給与を払わなければなりません。これらを証明することが必要になります。
2.技能ビザの場合
Skilled Labor
技能ビザの場合も、日本国内の民間の会社や公の機関との雇用契約が要件となります。
技能ビザというからには熟練した技能が求められ学歴は関係なく10年以上の実務経験が必要です。(3年や5年でよいものもあります。)これを証明できなくてはビザは取れません。
該当する職種としては、外国料理の調理師、スポーツの指導者、航空機の操縦者、貴金属等の加工職人、ソムリエなどがあります。
この中でも特に多いのが、外国料理の調理師です。
中華料理、韓国料理、タイ料理、ベトナム料理、インド料理などの調理師です。
本国での10年以上の実務経験を証明しなくてはなりませんが(タイ料理は5年でよい)虚偽の申請が多いことから、入国管理局は入念に調査をしています。
外国人が働いていた店は実在するのか、本当に10年以上働いたのか、実地調査をしていますので、外国人の方は絶対に虚偽の申請をしないよう、外国人を採用される方は虚偽ではないかどうかを慎重に判断されることをおすすめいたします。
外国人を採用するお店側の要件としては、外国料理の専門店であることです。店舗の規模もある程度大きくなくてはなりません。日本人と同等の水準の給与が支払われることも必須条件です。
3.経営・管理ビザの場合
Buisiness Manager
経営・管理ビザの場合は、外国人本人が日本国内で事業の経営や管理をするために必要なビザです。
また、経営者でなくとも会社役員として雇用される場合も、経営・管理ビザが必要です。
経営者としてこのビザを取るためには、クリアしなければならないいくつかの要件があります。
会社の規模、事務所の態様、継続性や安定性といった要件です。
会社の規模
●経営または管理に従事する外国人本人以外に、2人以上の日本に居住する常勤の職員
(日本人・永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者)が従事して営まれること。
●資本金の額または出資の総額が500万円以上であること。
●上記2点について準ずる規模であると認められるものであること。
以上3つの条件のいずれかに該当していること、とされています。
つまり、2人以上の従業員(上記の条件を満たす者)を雇っているか、資本金または出資額が500万円以上であるか、どちらも満たしていなくても、それに準ずる規模であると認められればよいということです。
また、規模の要件をクリアするにあたって、個人事業主として事業を始めるよりも会社を設立する(法人登記をする)方が、審査に対する準備の面で負担が少ないのが現状です。
事務所の態様
新しく事業を始めるにあたって日本国内に事務所を確保しなくてはなりませんが、基本的に自宅兼事務所は避けた方が無難でしょう。
実地調査を含む細かな要件を満たせば、自宅兼事務所でも可能なケースもありますが、原則として自宅とは別の事務所を用意した方が確実です。
会社の継続性や安定性
これから始める事業の場合、継続性や経営の実態が特に重要視されます。
既存の事業であれば過去の財務諸表や納税書類から経営状態を判断できますが、新しい事業の場合は実績を証明するものがありません。そこで、事業計画書を作成して継続性を証明します。
経営の実態とは、実は何もしていない見せかけだけのペーパーカンパニーを作っていないか、本当に事業を経営するのかどうかを審査されるということです。
新規事業で経営・管理ビザを取るには、既存の事業で取るよりも当然のことながらハードルは高くなります。
また、外国人本人が経営ではなく管理だけに従事しようとする場合は、経営または管理について3年以上の経験があればよく(大学での専攻期間も含む)日本人と同等水準の給与が支払われることが要件になります。
経営・管理ビザを取得すると受けられる優遇措置として、外国人の家事使用人を雇用できることがあります。